聞き手:一般財団法人ラン・フォー・ピース協会事務局長
/第1回リトルワールドへRun for Peace実行委員会リーダー ミネッチ
■ = 崇さん ■ = 美喜子さん
――中野さん、ランニング歴はどのくらいでしたっけ?
■走ってはないんだよね。大会も出たことないし。ジムに行きだしたのは、僕が2年前。
半年遅れくらいで、二人で一緒に。二人だと安くなるし。ほとんど土日に行ってるかな。
あと、1Fがスーパー銭湯なので、自分はほとんど毎日、サウナに入ってから帰るの。
――では、Run for Peaceを知るきっかけは、ランニングではなさそうですね。
■きっかけ、と言えるのかな。近所の二十歳くらいの子が白血病で亡くなったことがあったんですよ。
うちのふたりの息子たちも同じくらいの年齢でね、うちの坊主たちは、頭は悪いかもしれんけど(笑)、
五体満足で、ありがたいことだなぁと思って。そうしたら、やっぱり世の中のために何かしないと、と思って、
インターネットで検索したんですよ。「ボランティア」で。
いろいろ出てきたんですけど、老人介護は個人的にようやらんなぁと思って、
じゃあ自分にできるのなんだろう?って見たときに、このRun for Peaceがあったんですよ。それで応募した。
――他にどんなボランティアがあったんですか?
■介護とか、「車いすを東南アジアに送ろう!」とか。
これは実際に年会費も払ってやっているんですけど、結局お金を払うためのボランティアなんですね。
確かに中国やタイに、旅行を兼ねていくようなプランもあるんですけど、
会社休んで一週間も10日も行けないんですよね。そうすると、「お金払うだけ」になっちゃう。
それはそれでいいけど、自分のタイプに合ってない。実感がないんですよね。
集まって食事会みたいなのもあったんだけど、まぁちょっと違うかな~って感じがしたんだよね。
交流したりするのはすごくいいと思うんですけどね。
無理せず、自分に合ったものをやるというのが長続きもするし、いいかなって。
――そのお金を出すボランティアなんですが、
たとえば直筆でお礼の手紙が届いたら、「達成感」を感じますか?
■感じないと思う。・・・嬉しいかもしれないけど、それだけじゃ感じないかな。
一緒に何かをしたっていうプロセスがないと・・・。
■時間がないからお金出します、って考える人はそれでいいと思うんですけどね。
――Run for Peaceはどうでしたか?
■これも、ある意味イメージが違った!もっと高年齢、僕より年上の人が多いかな~と思っていたの。
そしたら、みんなめちゃくちゃ若かったじゃないですか?でも、いいのかな、まぁいいか、と思って(笑)
――あぁそうですねぇ。30代が多かったですね。
コアメンバーが友だちや知り合いに声かけて誘ってるからですね。
■今まで見てきたボランティアさんは、リタイアされた人とか多かったです。
それもまた違うかなとも思ったけどね。
■会社にも、ボランティア活動があるんですよ。最近は、工場の周りに植樹して、地域の人を呼んで会社の活動をアピールしたり、コミュニケーション図ったりね。
会社の対応としては間違ってないと思うんだけど、木を植えるのとボランティアってちょっと違うかなぁって個人的には思うんだよね。
会社のボランティア活動は「やらされ感」があるんですよ。どうしても。
僕らの年代は、mustなんですよね。本来、ボランティアって、自ら手を挙げることが大事だと思うんです。
ボランティアっていう枠にとらわれる必要もない、やりたければやればいいし、やりたくなければやらなければいい。…とか言いつつ、来年のリトルワールド(へRun for Peace)お前わかっとるよなぁって後輩には言ってるんですけどね(笑)
――(笑)
■僕自身がね、親父を小学校5年生の時に亡くしてるんですよ。
だから、いろいろなところから支えてもらった経験があるんです。高校行くときも「あしなが育英会」に
奨学金を出してもらったり、小中学生だと、ライオンズクラブが野球見に連れてってくれたりだとか。
だから、お返ししなきゃというような意識もあって、募金したりもするんですよね。そんなに大金はできないけど。
会社で募金することもあるんだけど、他の人がいくら寄付したのか、みんなにわかっちゃうんですよ。
ひとり300円以上といわれると、みんなが300円払うんだよね。これも日本文化なのかな。
アメリカ人ってお金持ちや有名人は、寄付がステイタスだもんね。
日本は違うなぁ。いかに貯金するか、いかに黙っているか。あんまり寄付してお金持ちと思われたらいかん、とかね。
早くお金持ちになって、早くリタイアして、時間やお金を自由に使える文化、寄付することもカッコいい文化になるといいなぁと思うんですよね。
■よく思うんですけど、自分が楽しまないと長続きしませんよね。自分が楽しくないとね。
まぁ仕事もなんでも楽しくするのもそうじゃなくするのも自分だからね。
自分で楽しい点を見つけながら仕事したほうがいいよね。どんなこともね。
――会社の部下や後輩の皆さんにとっては、
中野さんはあこがれの存在じゃないですか?
■ひとつの生き方の見本じゃないけど、若者が「ああなりたい」っていう大人になりたいね。
だからと言って「俺はやってるぞ!」って見せつけるのもなんだけどね。
まぁ数ある中でこれ(ボランティア)もひとつ、という感じかな。
――ボランティアはなんらかの形でずっと続けていこう、というお気持ちですか?
■うん。やらせてもらって意識変わったところもありますしね
。
単純なことだけど、あのリトルワールドへRun for Peaceも、平和公園へRun for Peaceも、開催日が近付くと、積極的にジムに行って体動かすようになるし。ちょっと練習しとかないかん、とか。服買わなきゃ、とか。
若い子たちのファッションは刺激になりますよ。へぇこんなウェアあるんだ、とか。服もいっぱいそろえたんですよ。
――じゃあこれからもたくさん、Run for Peaceに出られますね(笑)
■Run for Peaceのボランティアスタッフの中にはトレーナーさんもいるし、ファッションは確かに刺激的かも…。
■そうそう、いろんな人たちがいるね。そういう人たちに会ったり、一緒に活動したりすることで
考え方が広がるというか、世界が広がる感じがする。
自分では気づいていなかったんだけど、あのリトルワールドへRun for Peaceのボランティアに
参加する半年くらい前かなぁ、ストレスなのか円形脱毛症になったの。
本当にひどかった。まだらに毛が抜けちゃって。で直ってきたころにRun for Peaceが始まったかな。
知らないうちに、仕事ばかりの毎日で、ちょっとまいってたのかもしれない。
■犬山だったし、場所も近かったから、参加しやすかったというのもあるね。
――2つのRun for Peaceに参加してくださって、率直な感想、いかがでしたか?
■楽しかったですよ。まぁ単純に。普段一緒じゃない人と一緒だったこととか。
間違いなく僕らとは違う文化というか社会の人もたくさんいたから。
――ナニモノかよくわからない人もたくさんいたりして…。
■そうそう。名刺交換して初めて知ったりしてね。
――前日のリハ※、準備にもご夫婦揃っていらしてくださって、本当にありがとうございました。
■あれに行って本当に良かった。一緒に作る、っていう実感が持てました。
※2011/3/6のリトルワールドへRun for Peaceはイベント開催の前日に準備とリハーサルを10数名のボランティアスタッフ有志で行いました。
――Run for Peaceに参加するうえで障害になったことはありますか?
■ううん。何もない。あ、ただ、びっくりしたのはね、ボランティアってお金要るんだって(笑)
――そうなんですよね。ボランティア登録費。トライアルラン、シンポジウム、本番の3つ合わせて3000円でしたね。
私たちも最初はボランティアさんに、お弁当出さないといけないのかな、って思ってたんですけど、それは違うってことをある方から
アドバイスされて、実行委員会で決めたんです。登録費をもらおうって。
お金を払ってまで参加するだけの価値を、私たち実行委員会はスタッフさんに提供しないといけないんですよね。
単純に経費がかかる、というのと、チャリティしたいから、っていう理由なんですけど。
そして、これに3000円の価値を感じてくれる人たちだからこそ、楽しく一緒に活動できるんじゃないかなって
思ったんですよね。共感してくれるひとに出会いたかったんですよ。
■たしかに、いいメンバーでしたよね。お金を払うボランティアはもっと金額高いし。
――生活や行動は何か変わりました?
■やっているときは違いましたね。でもまぁ、終わっちゃったらまた戻るかな(笑)
ふつう、毎日って、同じことの繰り返しじゃない?ほぼ。
でもそこに、こういうボランティア活動が入ってくると、節目っていうのかなぁ、ができるでしょ?
――ゴールも見えますしね
■そうそう、そのゴールに向かってやる、っていうのが、目に見えやすくていいですよね。
単調じゃない生活、さらに、それが誰かのためにもなる。
まぁ、実際目の前にあると、うっとうしいなぁって言う気持ちになることもありますけどね(笑)
楽しみ半分、面倒くさい半分。
――確かに。準備期間は大変ですし。
その分、当日が本当に楽しいんですけどね。
会社の若手はラン・フォー・ピースに参加しそうですか?
■いや、正直ないな。ほかにやりたいことがいっぱいあるだろうなと思う。
僕らには、もうほかにやりたいこと、そうないもんね?
■うん(笑)
■若手に対しては、僕ら人生の先輩としてできるのが、「環境を作ること」だと思うんですよ。その環境の中で彼らが何を選択するのかは彼らの自由だからね。こういうのがあるんだよ、って情報提供するっていうかね。怖い顔して言うとみんな来るしね(笑)
――では、Run for Peaceを検討している人に、
怖くない(笑)メッセージをお願いします!
■人生が変わるよね。多かれ少なかれ。ぼくもちょこっと変わったな。
人生プラスマイナスゼロだな、と思った。
ぼく、これまでそんなにいいことやってなかったんですよ。ボランティアって「いいこと」じゃないですか。
お前なんでそんないいことやってるの?って聞かれたときに、「いや、プラスマイナスゼロだから」って答えてるんですよ。照れもあるのかな。
■私はけっこう「インドア」なんですよ。外に出られないんです。嫌いじゃないんだけど、自分から行くことができなくて。
でも主人が連れてってくれるから、ついていかないと!って思って行動できるんですよね。
■死ぬまでの日曜日、考えてみて。あと何日あるんだろう?じっとしてたらもったいない!
会社の部下が、突然死したんです。まだつい最近のことなんですけど。何があるか本当にわからない。
職場内でいちばん健康的ともいえる人だったんだよ。
今日を楽しまないといけない。やろうと思ったことはそのときやらなきゃ。
検討している人はやろう。やってみてやならやめればいい。合う合わないもあるし。
中野さんには、会社の中だけでなくて、たとえばRun for Peaceのようなボランティア活動でも、その影響力を思う存分発揮して、若手にその背中を見せていただきたいです。Run for Peaceには、たくさんの出会いのチャンスがありますよ!(ミネッチ)